理不尽の国のアリス

世界は歪んでいる。私の認識が歪んでいる。どちらでしょうか。

名前の見えない不透明性。【少し変わった子あります・森博嗣】

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少し変わった子あります

少し変わった子あります

 

 

お仕事先の人に貸していただき、読んでみました。

とらえどころの無い浮遊感と、すとんと落とされる感覚を味わいたい人はどぞ。

 

そもそも、このとらえどころの無さがどこから来るかというと、

「名前の無さ」から来るものと感じます。

この作品では、お店に関わるもの全てに固有名詞が存在しません。

あの店、その店というように代名詞的に語られるため、特徴をつかむことができません。

名前を知ることは、相手を知ることだという呪術的な解釈もあるでしょう。

それ以上に、名前どころか、その属性をできる限り排する形で描かれます。

料亭は毎回移動し、場所を固定しないという徹底ぶり。

場所がそのつど変わるため、記憶に残っても白紙に戻されてしまいます。

共通するものを強いてあげるとしたら、人目につかないような排他性でしょうか。

 

その特徴の無い真っ白なキャンバスの上に描かれるのは

「少し変わった」謎を提供する女の子と、主人公の思考感覚。

女の子たちも際立つ特徴を持たず、焦点が当たるのはその所作と発言のみ。

その発言内容が特に奇妙なのです。

特徴の無い料亭は、その奇妙さを際立たせるような「思考補助装置」として機能します。

彼女たちの奇妙さと、それと相反する料亭の奇妙さ。

その独特の空気感にとめどなく流れる思考。

 

そして、空を漂うような思考の末に

 

そのふわふわとした思考が一気に凍りつくラスト。

 

ちょっと物事を斜めから見ている人にほんとにオススメです。

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